会社員といっても、現在は雇用形態が様々で、有期社員としての雇用形態(契約社員・派遣社員・パート)で働いている方は非常に多いです。また、採用側である会社も最初から「正社員」として採用せず、このような有期の雇用形態でまずは働いてもらうというところも多いでしょう。
- 職場の環境が良い
- 今の仕事が好き
- 今の会社で長く・安定した雇用形態で働きたいと考えている
- どうやったら正社員にステップアップできるんだろう?
- 何度もチャレンジしているのになかなか試験に受からない…
「このままこの会社で正社員として働きたい!」と考えている方向けに、「有期社員→正社員」のあれこれについてまとめてみました。もし正社員登用試験へのチャレンジついて、不安や悩みがあれば、ちょっとしたヒントだったり考えるきっかけになっていただけれ大変嬉しいです。
- 有期→正社員のハードルは高い
- タイミングや運がある
- 頑張っているだけでは難しい
- 正社員になったら会社にどう貢献するかを考えること
目次
正社員登用試験とは?
「正社員登用試験」とはその名前の通り、現在契約や期間に定めのある雇用形態の人を、それらの定めがない正社員として採用を行うための試験となります。
- 会社側:一定期間の働きぶりをみて、パフォーマンスが優秀な人を確保したい etc.
- 働く側:契約期間や更新の心配をせず、いま在籍している会社で安定して働きたい etc.
このような感じで双方のニーズが一致すると大変メリットのある制度ですが、この制度が用意されているかどうかについては、会社によって異なります。求人情報だったり働いてから人事の部署に確認する必要があります!
毎年あるタイミングになると契約更新についての意思確認だったり、会社と被雇用者双方で話したり、何かしら書面で取り交わすことがあると思いますが、そのような契約に関するやりとりは正社員になると無くなります。
基本的にこの正社員登用試験というものは、契約社員やパートなどの雇用形態であっても、直接会社に雇用されているされている人が対象になっていることがほとんどです。なので、この正社員登用試験にパスすると雇用形態こそ変わりますが、属している会社が変わるということではないです。
派遣社員は正社員になれる?
派遣社員→勤務先の会社で直接雇用されるというパターンになりますが、これについては「基本的には難しいが、全く可能性がないわけではない」と思います。
派遣社員は、本籍が派遣会社 (派遣元) となり、勤務先で直接雇われているわけではないので、そもそも正社員登用試験の対象にはならないことになります。また、派遣会社は派遣先の企業からマージンをもらうことで利益を得ているわけですから、その派遣社員が派遣先に直接雇用されてしまうと、派遣会社としては派遣社員が引き抜かれることによって、マージンを得られなくなってしまうことになります。派遣会社にとっては利益を失ってしまうので損ですよね。派遣会社と派遣先企業のお互いの信頼性・関係性などから、このようなケースがトントンと進むのは実際難しいのかな?と感じます。
ただ、全くないわけではないと思います!というのも、僕の会社では過去に派遣社員が複数名在籍していましたが、全員ではないものの、そのうちの何名かが契約社員へ切り替わった(その後正社員として登用された人もいます) ケースが実際にあったからです。何故直接雇用へ切り替わったのかの事情・背景、派遣会社と派遣先企業がどのような交渉・取り交わしがあったのかは分かりませんが 、こういうケースもないこともないです。
もし、現在派遣社員として働いているがその派遣先企業で正社員としての採用を狙うのであれば、派遣社員として働き続けるのではなく一度辞めるなりなんなりで契約社員で採用される…とかの方が良いかも知れません。(実際採用されるかどうかだったり、派遣会社とその派遣先企業の関係性によりもしかしたら難しいなどもあるかも?)
試験の概要
正社員登用試験にはどのような選考過程があるかというと、企業によって変わりますが、下記のようなケースが多いかなと思います。
- 調査票・エントリーシート (これまでの実績)etc.
- 筆記試験
- 小論文試験
- 面接試験
大体このようなものになるかなと思いますが、直属上司の推薦状だったりそういったものも選考材料の一つとして加味されることもあるかもしれません。通常面接では相手が上司ではなく、社長や人事部といったポジションの人が面接官になるはずです。
試験のタイミングは?何回でも受けられるもの?
正社員登用試験は、年度内のあるタイミングで行われ、実際に正社員への切り替えは年度の始めあるいは上半期・下半期の区切りなどが多いかもしれません。
また、登用試験のエントリーに関しては受けられる回数に制限があるところも企業によってみられるようです。
どのくらいの人が受かるの?
実際に、登用試験のハードルは結構高いようです。僕の会社でのケースでは、10名受けて2名通るか通らないかくらいです。正社員登用試験制度が用意されていても、実際にはなかなか選考に通らないというところもあるかもしれません。(正社員登用試験の難しさについては後述)
試験にパスできなかった場合は?
「何度かチャレンジしても、正社員登用試験にパス出来なかった…。」という場合は、引き続き有期社員 (契約社員・パート) として雇用されるか、あるいは無期契約社員への切り替えなどがあると思います(会社によっては、準社員といった呼び方も)。この無期契約社員の形態は、有期と違って期間に定めがないため、更新を気にせず安定して働けるという点では正社員と同じですが、待遇などで正社員とは差があります。
また、契約社員として更新が繰り返し行われたのち、トータルで5年を超えた場合には働く側から希望があれば、無期、つまり期間に定めのない無期雇用形態へ転換できますというルールが現在法律で定められています。
「5年超えて働くなら無期雇用に換わるなら大丈夫なんじゃ?」と思うかもしれませんが、5年経過する前に契約終了ということは十分にありえます。有期契約社員は企業側から「次は契約更新しません」となると、働く側が希望しても、となるとやむなく契約終了 = 退職ということになります。有期社員として雇用される場合の最大のデメリットが、会社側から更新を行わないリスクもあるという点です。
これは、仕事ぶりがどんなに良くても起こらないとも言えず、景気だったり会社の経営状況だったりにも左右される部分だと思います。
正社員になるメリット
正社員登用試験に興味があるということは、正社員で働くことに魅力を感じているからだと思います!では、有期社員と比べて正社員として選考に通るとどのようなメリットがあるのでしょうか(‘ω’)
- 安定して働ける (=契約の更新を気にしなくてよい)
- 退職金制度・持株制度など、有期社員にはない福利厚生が拡充される
- 定期昇給などの幅が上がる
- 賞与 (ボーナス)
- 昇進 (管理職ポジション) の機会
- 業務の幅が広がる・キャリアアップしやすい
- 社会的信用
というような方は、正社員として働く場合にデメリットと感じる部分 (業務量増に伴い超勤が増える) も出てくるかもしれませんが、結論としてメリットのほうが多いですよ!
正社員登用試験は何故難しい?
正社員登用試験は、思っているより結構難しいと思ったほうが良いです(‘ω’)
- もう2、3年働いているから大丈夫だ
- 特に仕事で大きなミスも起こしていない
- 人間関係などのトラブルもなし
- 勤務状況も良好
などなど、ごく当たり前に平和 (?) に過ごしていてもなかなか通してくれないという現実があります。
企業の本音
正社員として採用する = 企業側にとっては人件費が上がることになります。退職金制度、賞与、昇給、などなど…。有期社員としてのコストより、正社員として雇い入れるのはよりお金がかかってしまいます。コストが上がるということは、その分生産性などを上げてより利益を生み出さなければならないので、ビジネスの観点から企業側は正社員への登用には十分に慎重な姿勢をとならなければなりません。
言い方を変えれば、同じ業務を同じ時間かけてやってもらうなら、コストのかかる正社員として雇い入れなくてもこのまま有期社員として働いてもらうほうが企業側にとっては都合が良いでしょう。
企業側にとって「この人が抜けると業務 (売上) への影響が大きい」「突出して会社に売上に非常に貢献している」といった代えのきかない存在になる必要があるわけです(‘ω’)
タイミングに左右される
これ、結構あるあるだと思います。正社員登用試験の門が狭くなるか、広くなるか、基準などについてもタイミングって関係あるのかなと感じます。こればかりはある意味「運」要素が強いところになります。
景気が良い・企業の業績が良いといった時には最初から正社員として採用したり、正社員登用試験の基準が比較的容易だったりということもあるかもしれません。
社長や人事担当者が変わって、経営方針・正社員に求める資質・社風・登用試験の内容などが変わることも大きく関係するでしょう。
「こんなにも会社に貢献しているのに!」「パフォーマンスの低いあの人がどうして正社員?」といったモヤモヤがある人もいるでしょうが、入社時期などが違えば、その時の状況だったりよって左右されることもあり、仕方のないことなんですね。
現場の評価と会社の評価のギャップ
直属の上司や同じ部署のメンバーに仕事ぶりを評価されている = 正社員登用試験に有利?と必ずしもならないのが難しいところかなとも思います。上司が選考に関わるということは稀なケースかも。
企業によっては判断材料として上司からの推薦状などもあるかもしれませんが、実際に面接だったり選考に関わるのは社長をはじめとする上層部や、人事部のトップだったりします。
「部署での評判もいい」「チームに欠かせない戦力」と実際の現場のメンバーが思っていても、選考をする側は業務の100%を理解しているわけではなかったり、「頑張っている」といった抽象的なことではなく、具体的に伝えられなければ、こういった声がなかなか届きにくいというのもあるかもです。これは本当によくいろんなところで聞きます(‘ω’)
会社側と現場側の視点や評価にギャップがあってもおかしくはないかなと思います。
エントリーシートや面接の中で、取り組んだことだったり実績を具体的に上手く伝えられるような工夫が必要になるでしょう。
試験に受かる人の特徴
実際に僕の周りには、正社員登用試験にパスして正社員となったメンバーがいます!その人たちが一体どのような業務姿勢を持っていたか、実績残したか、といったケースを紹介します(‘ω’)
- 業務改善や生産性向上に意欲がある
- スキルや成果物の共有ができる
- 広い視野を持っている
- ちょっとした課題に積極的にチャレンジする
業務改善や生産性向上に意欲がある人は、「今現状直面している問題をどうにかしたい」「この業務のやり方を見直して時間の短縮を図りたい」「使いづらいフォーマットを一新しよう」など、与えられたタスクに慣れてきた段階で、何かしらメスを入れてより良い状態にしようと試みています。「現状維持」ではなく「現状打破」をねらいとしています。
スキルや成果物の共有ができるというのは、自身が持っているスキルだったり、成果物などを周りに共有・展開を行うなど、チーム全体の業務効率を上げることに協力的だったり、自分自身のみならず周りにとってもプラスになるように動ける人のことです。ポイントは「自分が影響を与える側になる」「属人化」からの脱却などがあたります。
- 英語が苦手なメンバーも海外のクライアントと関わる業務に携われるよう、メールで使える英文テンプレートやマニュアル整えて展開
→今まで語学がハードルとなっていた業務が、苦手なメンバーまでこなせるよう業務の平準化が達成できた!「英語が出来ないとこの仕事はできない」といったチームの問題が解消された! - Excelでマクロを組んで確認作業が大幅に短縮できるツールを作成して共有
→時間がかかっていた作業の工数を大幅に削減、チーム全員がそのメリットを得られるようになった!空いた時間を別のことに充てられるようになった!
広い視野を持っている人は、日ごろの業務姿勢に表れます。自分が置かれている立場や、求められていることを理解し、行っている作業の意味やその前後処理との関係性などにも目を向けるなど、俯瞰的にみて取り組んでいます。そういった人は、業務遂行能力も高く、あらゆるケースに柔軟に対応できる人が多いなと感じます。
ちょっとした課題に積極的にチャレンジする人は、「実績」が分かりやすく残ります。例えば、部署の中でのコンペだったり成果物を発表する場があったりするのであれば、それらに積極的に参加してみたり、自ら活動推進するなどを見せています。これらは部署内に留まらず、会社側から目立つものになるはずです。正社員登用試験の選考に携わっている人が、その活動内容の共有を受けて、一目置いてるかもしれませんよ!
試験にパスしづらい人の特徴
対照的に、下記のような人は本当に正社員への登用を目指すのであればもう少し意識を変える必要があるかな?と思います。
- 現状維持を好む
- 自己アピールが苦手
- 勤務態度・コミュニケーション (人間関係など) に難あり
- 方向性がズレている
- 実績不足
現状維持を好む人は、伸びしろや成長が見込めないことになります。もちろん業務を問題なく取り組んでいくことは大事なことですが、「業務をこなす」は当たり前のことになります。ずっと同じこと・同じ時間をかけて何となくソツなくこなしているだけなのであれば、それはきっと他の誰かでも代わりが利くようなものかもしれないし、必ずその人じゃないと回らない業務ということにはならないでしょう。余程専門性に優れていない限り、企業側としてはわざわざ正社員にする必要はないかな?と判断するでしょう。もし現状維持のスタンスで働きたいのであれば、正社員を目指す業務姿勢としては物足りないかなと思います。
自己アピールが苦手な人は、性格的なところもあるかとは思うのですが、非常に惜しいと感じます。素晴らしい成果物があって、仕事のパフォーマンスがよくても、それを自分の口で自分の言葉で具体的に説明する・アウトプットすることが出来なければ、なかなか会社に伝わりづらいのです。緊張だったり、前に出るのに消極的だったりする人もいるかとは思いますが、試験の場だけでもここは是非乗り越えてほしいところになります!これは自身をアピールする経験を積んだり、克服する努力が必要となりそうです。
勤務態度・コミュニケーション (人間関係など) に難があれば、会社としてはトラブルメーカーを抱えたくないかと思うので、正社員登用の選考に受かるのは難しいでしょう。これは社会人のマナーの問題ですね。遅刻・無断欠席・メンバー同士での不仲や争いがあからさまで業務に支障が出る、など…。会社としてはトラブルメーカーを抱えたくないですしね。会社員生活してると、こういう人って一人や二人いませんか?
方向性がズレている人、これらの行動に心当たりがある人は意識を変えたり自分自身を冷静に見つめなおして力を注ぐ場所を正しい方向する必要があるかもです!
- 残業しまくる・有休をとらないこと = がんばっている証拠、ズレた自己アピール
- 自己満足の自己啓発 = 会社が必要なスキルであると勘違い
- ゴマすり・飲み会に参加する・お菓子を配る・喫煙所ゴシップ集めなど立ち回りに必死
etc. - 実績不足
「休みも取らず、残業もいっぱい頑張っているわたし!」タイプの人は、アピールの仕方がズレています。残業が多い = 残業代(コスト)がかさみますので、企業にとってはマイナスです。残業を減らしメリハリをつけて休む、業務効率を上げて生産性UPを図るような取り組みが必要です。各企業ともにコスト削減に必死なので、言い方は悪いですが「無駄な頑張り屋さん」はお荷物になりがちです。
自己満足だけの自己啓発も注意です。過去に僕の会社では「あなたは会社にどう貢献しますか?」「今年度の (自身の仕事での) 目標は?」に対して、「TOEIC 800以上とること!」「日商簿記2級取得!」と堂々と答えていた人がいたようです。英語力アップや資格取得に励むのは大いに結構ですが、それを会社のためにどう生かすのか?会社にはどんなメリットがあるのか?などが重要なポイントで、ただ高スコアを狙う・資格を取得するというのは単なる自己啓発にすぎません。
昇進の条件だったり転職のアピールポイントとして必要な場面はあるかもですが、正社員登用試験では資格をとた云々ではないので、雇い入れる側の立場だと「そういうことじゃないんだよなぁ…」となりますね。もちろん、正社員登用試験にTOEIC ◎◎◎点以上~・●●の資格保有が最低条件など設定されているのであれば、目指さなければならない基準かもしれませんが、大事なのは「それを取ったからどうするの?」「それを取ると、あなたはどのような利益・メリットをもたらしてくれますか?」に具体的に答えられるかかな?と思います。
ゴマすり・飲み会に参加する・お菓子を配る・喫煙所住人だったり、立ち回ることに必死、つまり、自身の業務上のパフォーマンスや成果以外のところで無駄に人に好かれようとしたり、「上手くやってる風」な人も要注意。力を注ぐところ考えなおすところかなと思います。
実績不足の人は、単純に業務経験が未熟・勤務歴が浅いなどの理由から、「まだまだこれから!」と大いにポテンシャルを秘めているかと思います。前述の試験に受かる人の特徴や取り組み振り返りながら日頃の行動の中で意識し、少しずつ仕事ぶりを認められて、信頼・実績を積み重ねていくことが必要となります!難題・課題に直面して大変なこともあるかとは思いますが、こうしたことがきっと糧となっていくと思うので、とにかく邁進していくことが大事ですね(‘ω’)
まとめ
有期社員から正規社員への登用は、長く働けばよい・無難にやりすごせばなんとかなる、というものではなさそうです。ただ「これからもこの会社で長く働きたい!」という気持ちがあったり、もし正社員になれるチャンスがあるのであればチャレンジする価値は大いにあると思います。
正社員になると増える業務や責任が重くなったりすることもあるかもしれませんが、きっと有期社員のときには見えない景色があったり、経験をすることができるかもしれません。
ただ、企業によっては正規登用制度を謳いつつも実は登用実績がほぼゼロ…だったりするところもあるかもしれませんので、無理して会社にすがりつく必要はないなーと判断した時は、転職も視野に入れることも検討したほうがいいでしょう!
いずれにしても、どんな雇用形態であっても自分にとってプラスとなる前向きな気持ちで会社員生活を送ることが何よりも大切かなと思います(‘ω’)!